コト

第18回 トダピースな交流会『トークセッション ゲスト:Hey Coffee yukaさん』

戸田公園エリアでひときわ異彩を放つカフェ「HeyCoffee」。
ポップアップで2015年から戸田朝市などに出店を行い、2017年に戸田公園に実店舗をオープン。
出店してから本町1丁目の人の流れを変えたHeyCoffeeオーナー/YUKAさんをゲストに、カフェ出店までの経緯やCoffeeやまちへの思いを聞いてみました。

YUKA

徳島県生まれ 5人兄弟の末っ子 両親は魚屋さんと日本料理の仕出し屋の2代目。小さい頃から食に恵まれた環境で育ち、3歳の頃には「フグの白子おいしい!」と言えるほど。(笑) 趣味は美味しいものを食べて、良いお酒を飲むこと。あとは魚をさばいてストレス発散。(笑)

ヒストリー

ファッションショーのバックステージで活躍するヘアメイクに憧れ18歳で上京。

芸能界でヘアメイクアシスタントを経験した後、一般の人にもメイクをしたいと思い美容メーカーに勤務。20歳の時には色が与える心理的影響に興味を持ち色彩学を学びカラーセラピストとなり業界最年少で色々なことにチャレンジ、一目置かれる存在に。

そんなYUKAさんの活躍が海外にも響きわたりアメリカからもスカウトの声がかかるが、重い病気が見つかり生死の境をさまよい断念。

完治後リハビリをかねてオーストラリアに渡ったときに、生まれて初めてコーヒーのおいしさに気づく。そこでコーヒーにはまりバリスタを目指し、ワーキングホリデーを利用しオーストラリアで暮らしながら日本に出稼ぎに来るという二重生活を始める。

29歳に日本に帰国した頃ブルーボトルコーヒーの日本上陸の話もあって、これからコーヒー業界がアツいと感じ、カフェに勤めると同時に戸田市内でHeyCoffeeのポップアップを開始。

2017年に待望のHeyCoffee実店舗をOPENする。

出店までの経緯について

ポップアップの人気に火が付いたことで実店舗をオープンしたのですか?

YUKA いいえ。もともと独立願望があったので、お店をオープンする前提でポップアップを行っていた感じですね。なので2017年のオープンまで2年近く店舗を探していた状況です。(笑)

あの場所にHeyCoffeeが出店したことで人の流れが確実に変わりましたよね?

YUKA ホントですか!? ありがとうございます。(笑)
2018年には台湾の松山(ソンシャン)で行われた大きなコーヒーイベントにもご招待頂いて、そこに出品したオリジナルコーヒーカップが「コーヒーギアアワード」も受賞したんですよ。

それはすごい!

Coffeeを飲むくらいのゆとりを生活に持つのがいいと知ったから

事前にお聞きしたいことをお伝えしていたのですが、まずは最初の質問から。
なぜカフェをやろうと思ったのでしょうか?

YUKA オーストラリアのコーヒーシーンは2008年頃から変りはじめてたんですよ。コーヒー嫌いだった私をコーヒー好きにしたシドニーには、1ブロックに3店舗はカフェがあるんです。朝の6時頃からお客様が店頭でお店が開くのを待っているんですよ。(笑)
これからやりたくもない仕事を始めるのに、コーヒー飲んで気持ちを上げていかなきゃやってられない!!て感じで。(笑)
そんな風景を見てきていたので、今の日本人のせせこましい生活には、コーヒーを飲みに行くっていうゆとりが必要だなって思って。(笑)
そんなゆとりをもった人達が自分の生活圏に一人でも増えたらいいなと思ってカフェをオープンしたんです。
これは実店舗を出すという最大値にあったことですね。

いろんな人に出会うことで生活を豊かにできると知ってるから

YUKA カフェは人と出会う場所なんです。「偉い人だから丁重に扱ってね」っていうことはありえなくて、ここでは肩書き関係なくいろんな方がフラットに話せるんですよ。人に出会うことで生活を豊かにできるということはこれまでの経験で知っていましたし、カフェはそんな関係性を生み出すことが出来る能力が高いビジネスだと思ってるんです。
互いを高めあうような人を見つけることができ、フラットな関係だからこそウチのお客様と一緒にワークショップをやったりもしているんです。普通ならカフェオーナーとエステサロンオーナーがコラボなんて考えられないでしょ?(笑)
でもそれもできちゃう、それが実店舗なんですね。店に立っていてもいまだにお客様から教えてもらうことが多いですし、人、情報があつまるツールボックスとしてカフェが起動しているんです。

なるほど。でもユカさんの人柄があってこそだと思いますけどね?(笑)
で皆さん気になっていると思うんですが、なぜ戸田公園駅を選んだのでしょうか?

旦那さんが異常に戸田市が好きだから。

YUKA これ結構いろんな人に聞かれるんですけど、第一の理由は旦那さんが異常に戸田が好きなんですよ。(笑)

不思議と戸田市出身の人は戸田が大好きですよね?(笑)

YUKA しかも旦那さんは戸田市出身で苗字も戸田なので、「僕、戸田市の戸田なんですよ。」って自慢するんですよ。(笑)
オーストラリアから帰ってきて「戸田市に住む」って言われた時は絶句でしたけどね…

戸田市に好みのカフェがなかったんで作っちゃいました。

YUKA 第二の理由は、近所に気に入ったコーヒーショップがなくて、、、(笑)
どこもフランチャイズで決められたマネージメントで決められたものしか作れない、そんなお店しかなくて、オーストラリアのカフェで味わったあの感動を得られる店はないし、「みんなつまんなそうに仕事してんなぁ。」と思って。
オーストラリアのカフェがなぜあんなに刺激的でかっこいいかって、バリスタはパフォーマンスをするパフォーマーなんですよ。お客様の名前をいち早く覚えて、あの人はこの時間帯にこれを飲む、砂糖の量は3/4など全部頭の中に入れているから、お客様もお店を好きになるんですよ。これ絶対です!!
その魅力に取りつかれて。お店をやるのも楽しいんですよ。大変なんですけどね。(笑)
あとはこれ、「都内まで行かないと好みのコーヒーが飲めないのはなかなかしんどいぞ」ということ。私の好きなコーヒーを都内に飲みに行ったら、交通費も駐車場代もバカ高いし、コーヒー何杯飲めるんだってハナシですね。(笑)
自分の好みのコーヒーが地元で飲めて当たり前に提供できて、というのは仕事をする側として夢がある。
「都内までコーヒー飲みに行くの面倒じゃない?」というところから選んで、プラス戸田公園に住んでいる人は美味しいコーヒーに飢えているんじゃないかということで、戸田公園駅を選びました。

(HeyCoffeeには、)戸田にこんなにたくさんの個性的な人がいるなんてと驚くほどいろんなお客様が多くいらっしゃっていますが?

YUKA そうですね、いろんなお客様がウチにいらっしゃいますね。個性的な人たちを私は「難民」と呼んでるんですけど、そういった人たちは「戸田に行きたいところがない!」んですって。なので最終的にうちにたどり着くみたいです(笑)。うちはホームページがないかわりにインスタグラムをたくさん更新していて、最初立ち上げて半年間はインスタグラムが「英語」、フェイスブックは「日本語」という風に分けていたんです。当時インスタはそれほど日本で普及していなかったので「英語」で出してたんですね。そうしたら(英語のインスタを見ていた)エッジのきいたお客様が集まっちゃいました。(笑)

実店舗を今の場所に決めるまでのエピソード

YUKA ポップアップをやっていた時に机や椅子、コーヒー器具などが増えていってしまって、それを一般的な家に保管しておくには場所を取りすぎるから、レンタル倉庫を借りていた時期があったんですね。その倉庫のオーナーさんに「何をしているのか?」と聞かれた際に、実はカフェを開く物件を探しながらコーヒー屋をやろうとしているんだと話していたところ、オーナーさんの遠い親戚の方が新しく物件を募集するというお話を聞いて、オーナーさんに会いにいってみたんです。
そこで出会ったのが今のお店の大家さん。(笑)

不動産屋さんを介しての紹介ではないんですね!

YUKA はい、そうなんです。大家さんに会いに行った時に言われたのは、まずは不動産に行ってみてとの事だったので、不動産であの物件でコーヒー屋をやりたいと話をした。すると渋い顔をされ、、、
「コーヒー屋・・・?」と(笑)
こんな感じだったんですが(写真をみせる)、もともと大家さんが大工さんだったということで、作業したりするような場所だったらしいんです。

内装のデザインはどなたが行ったのでしょうか?

YUKA まず相談したのは「埴生の宿」の代表 鈴木一史さん(内装デザイン専門)。私が店舗設計をお願いする絶対条件って、「一度でもオーストラリアに行ったことがある人」だったんです。彼はその条件をクリアしていたんですね。(笑)
実はそれってとても重要なことで、オーストラリアは天井がとても高かったり玄関がなかったりととても自由な設計が多く、それが開放的でめちゃくちゃ良くて、そういう設計を見ている人じゃないと自分が思っている内装デザインをつくれないでしょ!と思ったんです。また、建設的に影響をうけたのはノルウェーのオスロにもある北欧の同じようなデザインの「FUGREN(フグレン)」さん(渋谷)。とにかくオシャレ!そしてオシャレなだけではなく使いやすい。日本の飲食店だとワンオペでやるとなるとあっちこっち行かないといけなくて疲れる。なのでお店のカウンターは自分の手をツンツンと伸ばせば届くように設計してもらって。。。
丸になっているのは円滑になっているイメージだったり、テーブル等が角張っている六角形なのは中国的な風水から人が行きかう・コミュニケーションが円滑になって盛り上がると聞いたので、そのようなデザインにしました。

だから(他のお店と)系統が違うんですね。当てはまらないというか。

YUKA そうですね。なので同じようなお店はなかなかつくれないんじゃないかなと思います。カウンターハイにしてるのは、バリスタのパフォーマンスを良く魅せる為にステージに見立てて、スポットライトが当たって一番かっこよく目立つようにしたいというコンセプトだからです。

まずあの場所でよくカフェを出したなぁと。不動産業者目線で言えば、あの場所ではやろうというのは出ないんじゃないかと…(笑)逆にあの場所でやってくれたことによって、流れが変わったなぁと。同じ通り沿いに新しく美容室さんも出店しましたが、Heycoffeeがあってこの流れがあるんじゃないかと。

YUKA ちゃんとビジネスをやりたいと思ったら他の人と同じ事はやりたくなかったんです。戸田市に住んでいる人の世代が30・40・50代が多くて、世帯収入感も似ていて職業も似ていて、奥さんは妊娠したら仕事やめる、みたいな。。。
そういう人たちだけをターゲットにしてビジネスをやっていたらうまくいかないと思ってて、より良く消費するには例えば消費量がとてつもないお店のコーヒーの原価はカップも含め1円以下なんですけど、うちのお店のコーヒーは結構な良いお値段するんです。
なぜかというと、適正のものを適正な人に飲んでもらいたいから。
生活の「ゆとり感」を築くってすごく重要じゃないですか?
この町で暮らしていく人の感度を上げたら消費は絶対に落ちない。必ず災害があってもみんな適正な動きをするし、暴動も起きない。みんなが束になっておかしなことをしない。変なやつだけはみ出して、抑えることができる。大きな渦を生むためには多少のことはやっていかないと。。。(笑)

HeyCoffeeでご一緒した美容室のオーナーさんが「Heycoffeeにリセットしにくる。」というお話を聞いて「リセット」という言葉がいまいちピンと来なかったんですけど、今回のインタビューをお聞きして、たしかにお店のコンセプトに合っていると思いました。コーヒーを飲むことで、一旦これまでの出来事をリセットして次の仕事にスイッチを入れる。「コーヒーでリセットできる」という感覚を持っていなかったので、衝撃的なキーワードでした。
そして、ニンジン!うちのヨメさんニンジン大嫌いなんですよ。でもHeyCoffeeさんのは「すっごく美味しい!!」と言って食べちゃうんですよ。ここの人参なら無限に食べられるという(笑)どうやって作るんですか?!

YUKA あれ!?すごく簡単なんですよ(笑)

素材の良し悪しがあるんですかね・・・?

YUKA 素材は変なニンジンじゃなければ!(全員笑)

私もニンジンはあまり得意じゃないのでわかるんですが、ニンジンって匂いがあるんですよ?独特なイヤ(?)な匂いが。。。

YUKA お酢はめっちゃいいもの使ってますよ。

でもお酢だけじゃぁニンジン臭さ消えないんじゃないですか?

YUKA ニンジンの段階でいえば、みなさんが普通に手に取る国産のおいしそうなニンジンですよ。あのキャロットラペのファンは実はけっこう多くて、常連さんの誕生日プレゼントはキャロットラぺをタッパーパンパンにして渡したということもありました。(笑)
ニンジン嫌いな方でも確かに食べていただいてますね。多分他のメニュー構成もあってのことかもしれませんが。

2店舗目の出店について

ちなみに次の展開は考えていらっしゃるんでしょうか?

YUKA じつは今年の秋頃に、北赤羽にある都市型リノベーションマンション「リノア北赤羽」に2号店の出店を予定しているんです。リビタさんプロデュースでリノベをしているマンションで、1階部分がパブリックスペースになっていて、まちに開いた空間になっているんですよ。

それは完成が楽しみですね。
カフェをきっかけにしてまちおこしをしているケースは良く見るのですが、継続が難しいという話しをよく聞くんです。なかなか儲からないと…(笑)
ビジネスとしてカフェをやるのはとても難解で、カフェはあくまで集客のためのツールにしていて、そこから別のお仕事にという話はよくあるんですが、HeyCoffeeさんの場合は全く違いますね!

今日、こうやってお話を聞かせて頂く機会を頂いて、さらにHeyCoffeeさんのファンになりました。
今日は色々とお話をお聞かせ頂きまして、ありがとうございました。